犬が薬を嫌がる・吐き出すとき
コツと考え方
- 薬だけ吐き出す子には、包む量を減らす、薬なし→薬入り→薬なしの順でおやつをあげる
- 食べ物でだまされなくなった子は、口をさわられる練習から始めて、直接入れる方法に切りかえる
- 追いかけ回す・押さえつけて怒ると、薬の時間がもっとこわくなる
- 長く続く薬なら、味つきの形や、別の形(錠剤↔液体)に変えられないか獣医さんに相談
- 吐き出した・吐いたときにもう1回あげていいかは、薬ごとに獣医さんに確認
こんなことで困っていませんか
- おやつにまぜても、薬だけきれいに吐き出す
- 薬の時間になると、隠れて出てこない
- 前は飲めたのに、急に嫌がるようになった
- 飲ませたあとに吐いてしまった。もう一度あげていい?
なぜ嫌がるのか
- 苦い・においがするつぶした錠剤や粉薬は、苦みをかくすコーティングがなくなっていることがあります(PetMD「つぶしてはいけないペットの薬」(獣医師執筆・薬剤師と作成))
- 「おやつ=薬」と覚えた薬のときだけおやつが出ると、おやつそのものを警戒するようになります(コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)
- こわい記憶追いかけられた、押さえつけられた、むせた、という経験から、薬の時間が嫌いになります
- 口の中が痛い急に嫌がるようになったときは、歯や歯ぐきの痛みのこともあります(VCA動物病院「犬の歯の痛み」)。くわしくは歯みがきを嫌がるときへ
薬だけ吐き出す子に
- 包む食べ物を、薬がかくれるだけの量にする多いと、薬をよけてかみ分けてしまう(コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)
- においの強い、ねばりのある食べ物を使う無塩のピーナッツバターなど。心臓病の子は塩分に注意(Fear Free Happy Homes「ペットに薬を飲ませる」(獣医師執筆・獣医行動学専門医の監修)、タフツ大学 HeartSmart「心臓病と食事」)
- おやつを3つ用意して、薬は1つにだけ入れる。薬なし→薬入り→薬なしの順に、テンポよくあげるどれに入れるかは毎回変える(Fear Free Happy Homes「ペットに薬を飲ませる」(獣医師執筆・獣医行動学専門医の監修)、コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)
- 1つのおやつに、2つ以上の薬を入れない(コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)
- 薬のないときにも、同じおやつをときどきあげる「おやつ=苦い」と覚えにくくする(コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)
食べたあとも、口をもぐもぐさせて薬だけ出すことがあるので、しばらく見ておきましょう(VCA動物病院「犬に錠剤を飲ませる」)。
食べ物でだまされなくなった子に
獣医師が書いた資料では、おやつの作戦に気づいてしまった子は、薬を直接受け入れられるように練習するのがよいとされています。まずは口の中を見られることに慣れてもらいます(Fear Free Happy Homes「ペットに薬を飲ませる」(獣医師執筆・獣医行動学専門医の監修))。
- 口のまわりをさわって、すぐおやつ。これを何日かくり返す
- くちびるを少しめくって、おやつ
- 犬歯のうしろあたりを軽く押して、口が少しあいたら、おやつ(Fear Free Happy Homes「ペットに薬を飲ませる」(獣医師執筆・獣医行動学専門医の監修))
- 慣れたら、錠剤を口の奥に置く方法に進む
口や体をさわられることに慣れる練習は、少しずつ時間をのばしていくのが基本です(米国動物病院協会(AAHA)「ストレスの少ない通院のために」)。1回は短く、嫌がるサインが出る前に終わらせましょう。
やめておきたいこと
- 追いかけ回して捕まえる
- 嫌がって暴れたことをしかる
- ごはん全部に薬をまぜる(ごはんを食べなくなることがある)(PetMD「薬を包むのに安全な食べ物」(獣医師監修))
- 吐き出したからと、量がわからないまま追加する
動物病院の資料では、食事中・水を飲んでいるとき・トイレ中に、じゃまをして薬を飲ませないこともすすめられています(VCA動物病院「犬に錠剤を飲ませる」)。
飲ませたあとに吐いた・吐き出したとき
もう1回あげていいかどうかは、薬によってちがいます。米国食品医薬品局(FDA)は、薬をもらうときに「飲ませ忘れたら?」「多くあげてしまったら?」を獣医さんに聞いておくようすすめています(米国食品医薬品局(FDA)「動物の薬のまちがい」)。液体の薬は、まったく飲んでいないと確かでないかぎり、あげ直さないとされています(VCA動物病院「犬に液体の薬を飲ませる」)。2回分をまとめてあげないでください(VCA動物病院「ピモベンダン」)。
吐き出した薬が形のまま出てきたのか、吐いたのが薬を飲んで何分後か、をメモして病院に電話すると、判断してもらいやすくなります。何度も吐く、元気がないときは、薬とは別に体調の相談をしてください。
形を変えてもらう相談
長く続く薬なら、無理を続けるより、形を変えるほうが犬も飼い主も楽になります。動物病院の資料では、こわがる・嫌がる子には、味のついた液体やおやつの形に作り変えてもらう方法があげられています(VCA動物病院「犬に錠剤を飲ませる」)。錠剤のかわりに液体を、などの別の形にできないかも、獣医さんに聞けます(コーネル大学 犬の健康センター「犬に薬を飲ませる方法」)。ただし、すべての薬でできるわけではなく、費用が高くなることもあります(Fear Free Happy Homes「ペットに薬を飲ませる」(獣医師執筆・獣医行動学専門医の監修))。
タフツ大学の心臓病の資料でも、薬の入れ方を病院で実際に見せてもらうことがすすめられています(タフツ大学 HeartSmart「心臓病と食事」)。「家でうまくいかない」と伝えるのは、はずかしいことではありません。
よくある質問
犬が薬だけ吐き出すのはなぜ?
包んでいる食べ物が多すぎて、薬をよけてかみ分けていることがよくあります。薬がかくれるだけの量にして、薬なし→薬入り→薬なしの順でテンポよくあげてみてください。
薬を吐き出したら、もう1回あげていい?
薬によってちがうので、獣医さんに確認してください。量がわからないまま追加したり、2回分をまとめてあげたりしないでください。
薬の時間になると隠れる子はどうする?
追いかけたり押さえつけたりすると、もっとこわくなります。口をさわってすぐおやつ、という練習を短い時間でくり返し、薬の時間を「いいことがある時間」にしていきましょう。味つきの形に変えられないかも相談してみてください。