老犬の徘徊・ぐるぐる回る
理由とサークルの作り方
- 目的なく歩き回る・同じ方向にぐるぐる回るのは、認知症(認知機能不全症候群)のサインのことが多い
- ただし急にぐるぐる回りはじめて、首がかたむく・目がゆれる・ふらつくなら、前庭疾患など別の病気のことがあるので、その日のうちに病院へ
- 家では、ぶつかってもけがをしないやわらかい円形のサークルで、すき間にはまる事故を防ぐ
- 昼にしっかり起きている時間をつくると、夜の徘徊が減ることがある
こんなことで困っていませんか
- 夜中に部屋の中をずっと歩き回って、止まらない
- 同じ方向に、ぐるぐる回り続ける
- 部屋のすみや家具のすき間に入って、出られなくなる
- 歩き回って、ぶつかったり転んだりしないか心配
なぜ歩き回るの?
年をとった犬が、目的なく歩き回る・行ったり来たりする・ぐるぐる回るのは、認知症(認知機能不全症候群)でよく見られる行動です。動物病院の資料では、認知症のサインとして、活動の変化(目的なく歩き回る、行ったり来たりする)や、昼に寝て夜に落ち着きなく歩き回るといった寝起きのリズムの変化があげられています(VCA動物病院「高齢のペットの認知機能不全症候群」)。ASPCAも、行ったり来たりする、一点を見つめる、家具のまわりで動けなくなる、などを認知症のサインにあげています(ASPCA(米国動物虐待防止協会)「高齢犬の行動の問題」)。
コーネル大学の資料では、夜に歩き回るのに昼は散歩に行きたがらない、といった変化も認知症のサインとされています(コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。認知症の見分け方は犬の認知症の症状と、家でできることにまとめました。
急にぐるぐる回りはじめたら:前庭疾患を見のがさない
認知症は、ゆっくり時間をかけて進みます。それに対して、ある日急にぐるぐる回る・ふらつく・倒れるようになったときは、耳の奥のバランスをとる部分の病気(前庭疾患)のことがあります。コーネル大学の資料では、前庭疾患は認知症とまちがわれやすいと書かれています(コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。
- 何か月もかけて少しずつ増える
- 夜に歩き回ることが多い
- すき間にはまる、迷う
- 1時間もしないうちに急に始まる
- 首がかたむく
- 目が左右や上下にゆれる
- ふらつく、倒れる、吐く
動物病院の資料では、前庭疾患は1時間もしないうちに急に始まることが多く、最初の24〜48時間がいちばん重く、多くの犬は72時間以内によくなりはじめ、2〜3週間でほぼ回復するとされています。ただし、よくならない・悪くなるときは、もっと重い病気がかくれていることがあります(VCA動物病院「犬の前庭疾患」)。脳の病気でも似たようすになるので、急に始まったときは、その日のうちに動物病院に連絡してください。
家でできること:けがをしない場所をつくる
円形のサークルを使う
歩き回る子は、部屋のすみや家具のうしろに入って出られなくなることがあります。コーネル大学の資料では、階段や家具のうしろに入れないようにふさぐこと、夜に明かりをつけることがすすめられています(コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。
そこでよく使われるのが、角のない円形のサークルです。角があると、そこに頭を入れたまま動けなくなる子がいるためです。作るときは、次の点に気をつけましょう。
- 壁はやわらかい素材に(ぶつかってもけがをしない。ウレタンのマットや、ふちのやわらかいビニールプールを使う人も多い)
- 高さは、立ち上がっても乗りこえられないくらい
- 床はすべらないマットや、洗えるやわらかいマットに(VCA動物病院「足腰が弱った犬のための住まいの工夫」)
- トイレシートと、こぼれにくい水入れを入れる
- すき間に足や首がはさまらないか、つなぎ目を確かめる
- 夏は暑くなりすぎないように、エアコンや風通しに気をつける
昼に起きている時間をつくる
昼に寝すぎると、夜に起きて歩き回りやすくなります。ASPCAは、昼と夕方に散歩・遊び・おやつを探すおもちゃなどで活動を増やすことをすすめています(ASPCA(米国動物虐待防止協会)「高齢犬の行動の問題」)。足腰が弱い子は、においをかぐ散歩や、家の中でのおやつ探しなどでもかまいません(コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。
止めようとしない
歩き回っている子をむりに押さえたり、しかったりすると、不安が強くなることがあります。けがをしない場所で歩けるようにしてあげて、疲れたら休める寝床を近くに置きましょう。
迷子に備える
認知症の子は、開いていた玄関から出て迷子になることもあります。マイクロチップの登録情報を最新にし、電話番号のついた首輪をつけておくことがすすめられています(コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。
獣医さんに相談すること
認知症は治す方法はありませんが、薬・食事・環境の工夫で進み方をゆるやかにしたり、夜の歩き回りを減らしたりできることがあります(VCA動物病院「高齢のペットの認知機能不全症候群」、コーネル大学 犬の健康センター「高齢犬の認知症」)。歩き回る時間帯や、何分くらい続くかをメモして、獣医さんに伝えてください。
よくある質問
老犬がぐるぐる回るのは認知症?
同じ方向に回り続けるのは、認知症でよく見られる行動の1つです。ただ、急に回りはじめて、首がかたむく・目がゆれる・ふらつくときは、前庭疾患や脳の病気のことがあるので、その日のうちに動物病院に連絡してください。
徘徊用のサークルは手作りできる?
できます。角のない円形にして、壁はやわらかい素材に、床はすべらないマットにするのがポイントです。ふちのやわらかいビニールプールを使う人もいます。すき間にはさまらないか、暑くならないかを確かめてください。
夜に徘徊して寝ないときは?
昼と夕方に散歩や遊びで起きている時間をつくる、寝る前にトイレをすませる、足元灯をつける、といった工夫をしてみてください。眠りやすくする薬が使えることもあるので、獣医さんに相談しましょう。
徘徊はやめさせたほうがいい?
むりに押さえたり、しかったりすると不安が強くなることがあります。けがをしない場所で歩けるようにして、原因や薬のことは獣医さんに相談してください。